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コラム

臭気指数の計算方法は?規制の種類や対策についても解説

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目次

(公開日:2025年4月17日)
工場や事業所が発する臭気は、周辺住民とのトラブルを引き起こす原因の一つとなり、企業イメージの低下にも直結する恐れがあります。近年は「悪臭防止法」によって規制基準が整備され、臭いを客観的に評価するための臭気指数が重視されるようになりました。

関連記事:悪臭防止法とは?規制基準や対策方法、改善事例も紹介

本記事では、臭気指数の概要や計算方法を整理し、規制基準と対策のポイントを解説します。

臭気指数とは

臭気指数とは、悪臭の程度を数値化した指標です。従来の特定悪臭物質濃度による規制では対応できない複合臭や未規制物質による悪臭問題に対応するために導入されました。人間の嗅覚を用いた官能試験によって測定され、臭気濃度を対数変換した値として表現されます。

【計算方法】
\( 臭気指数 = 10 \times \log_{10}(\text{臭気濃度}) \)

臭気濃度とは「臭いがしなくなるまで無臭の空気で何倍に薄めたか」を示す値です。例えば、1,000倍に薄めてやっと臭いを感じなくなった場合、臭気濃度は1,000、臭気指数は30(=10×log₁₀(1,000))となります。

悪臭防止法と苦情件数

悪臭防止法は1972年に施行され、1995年の改正で臭気指数規制が導入されました。環境省の統計によれば、悪臭に関する苦情件数は年間約1万件前後で推移しており、典型7公害(大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭)の中でも上位を占めています。

特に食品製造業、畜産業、化学工業などの分野で苦情が多く発生しており、一度トラブルになると解決までに時間とコストがかかるケースが少なくありません。悪臭問題は感覚公害であるため、測定や評価が難しく、企業側と住民側の認識にズレが生じやすいという特徴があります。

「におい」と悪臭の違い

「におい」と「悪臭」は似た概念ですが、法律上は区別されています。

「におい」は単に人間が嗅覚で感じる感覚であり、良いにおい(芳香)と不快なにおい(悪臭)の両方を含みます。一方、「悪臭」は悪臭防止法において「不快なにおい」と定義され、規制の対象となるものを指します。

ただし、においの感じ方には個人差があり、同じにおいでも人によって不快に感じる程度が異なります。そのため、客観的な評価方法として臭気指数が重要になってきます。

臭気指数規制について(3種類の規制基準)の概要紹介

臭気指数規制では、以下3種類の規制基準が設けられています。

(1) 敷地境界線上の基準(1号基準)

工場や事業場の敷地境界線上で測定される臭気指数に対する規制です。地域の区分ごとに10~21の範囲で基準値が定められています。一般的に、住居系地域ほど厳しい基準(数値が小さい)が適用されます。

【地域区分と一般的な基準値の例】

  • 第1種区域(住居系地域):10~12
  • 第2種区域(住居・商業混在地域):12~15
  • 第3種区域(工業系地域):13~18
  • 第4種区域(工業専用地域):14~21

(2) 気体排出口の規制基準(2号基準)

煙突などの排出口から大気中に排出される気体の臭気指数に対する規制です。排出口の高さや排出量に応じて基準値が定められ、次の式で算出されます。

\( \text{臭気排出強度} = \text{臭気濃度} \times \text{排出ガス量} \)
規制基準値は以下の式で計算されます。
\( q = 275 \times 10^{A/10} \times \mathrm{He}^2 \)

  • q:臭気排出強度の許容限度(m³N/分)
  • A:敷地境界線上の規制基準(1号基準)
  • He:補正された排出口の高さ(m)

(3) 排出水の規制基準(3号基準)

排出水に含まれる臭気物質に対する規制です。排出水を採取して官能試験を行い、その臭気指数が規制基準以下であることが求められます。一般的には、敷地境界の基準値(1号基準)に16を加えた値が基準値となります。
例えば、1号基準が12の地域では、3号基準は28(=12+16)となります。

臭気指数の測定が必要になる場合のイメージ

臭気指数の測定が必要になるケースとしては、例えば以下のような状況が考えられます。

  1. 近隣住民から悪臭に関する苦情が寄せられ、自治体から測定を求められた場合
  2. 新規施設の稼働前後で臭気状況を把握し、対策の効果を確認する場合
  3. 定期的な自主測定として、法令遵守状況を確認する場合
  4. 設備や工程の変更に伴い、臭気状況に変化が生じる可能性がある場合
  5. 環境マネジメントシステム(ISO14001など)の一環として実施する場合

臭気指数の計算方法

臭気指数の計算は、官能試験によって得られた臭気濃度をもとに行われます。具体的な手順は以下の通りです。

  1. 試料の採取:敷地境界、排出口、または排出水から臭気を含む試料を採取します。
  2. 官能試験(三点比較式臭袋法):6名のパネル(嗅覚測定検査員)が試料を段階的に希釈したものを嗅ぎ、臭いの有無を判定します。各パネルについて、正しく判定できた最大希釈倍数を求めます。
  3. 臭気濃度の算出:各パネルの閾値(臭いが分からなくなる希釈倍率)から、全パネルの平均値として臭気濃度を求めます。
    臭気濃度(C)= 10^[(log M₁ + log M₂ + ... + log M₆)/6] ここで、M₁~M₆は各パネルの閾値です。
  4. 臭気指数の計算:得られた臭気濃度の常用対数に10を乗じて臭気指数を算出します。
    計算方法:臭気指数(T)= 10 × log₁₀(C)
    ※C:臭気濃度、T:臭気指数

【計算例】
パネル6名の閾値がそれぞれ 300, 300, 1000, 300, 1000, 300 である場合、臭気濃度および臭気指数は次のように計算されます:
\[ \begin{align*} C &= 10^{\left( \frac{\log 300 + \log 300 + \log 1000 + \log 300 + \log 1000 + \log 300}{6} \right)} \\ &= 10^{\left( \frac{2.48 + 2.48 + 3.00 + 2.48 + 3.00 + 2.48}{6} \right)} \\ &= 10^{\left( \frac{15.92}{6} \right)} \\ &= 10^{2.65} \\ &= 447 \\ \\ T &= 10 \times \log_{10}(447) \\ &= 10 \times 2.65 \\ &= 26.5 \approx 27 \quad(切り上げ) \end{align*} \]

実際の規制においては、臭気指数は整数値として扱われるため、計算結果は小数点以下を切り上げて表記します。

なお、精緻な臭気指数の測定をご希望の方は、測定の専門業者にご依頼ください。

臭気指数の測定には、特殊な機器や訓練されたパネルが必要であり、測定方法も複雑です。正確な測定結果を得るためには、環境計量証明事業所などの専門業者に依頼することをお勧めします。もちろん、対策も含めてご検討されている場合には無臭元にもご依頼いただけます。

臭気指数の規制基準と臭気対策

臭気指数の規制基準は自治体ごとに異なりますので、事業所が所在する自治体の条例やガイドラインを確認する必要があります。多くの自治体では、環境部局のウェブサイトなどで規制内容を公開しています。

一般的な臭気対策としては、以下のような方法があります。

方法メリットデメリット
消臭剤▼イニシャル・ランニングコストが安い
▼設備より対応のスピードが早く、対策が容易である
▼大容量の低濃度複合臭気の場合、完全な消臭は困難である
燃焼消臭
▼臭気物質への適応範囲が広く、広範囲の濃度に対応できる
▼効果大
▼イニシャル・ランニングコストが非常に高い
▼設備導入に非常に時間が掛かる
生物消臭▼ランニングコストが安い
▼低濃度・複合臭気には効果大
▼イニシャルコストが高い
▼管理が非常に困難である
活性炭▼臭気物質の適用範囲が広く効果大▼交換作業などのランニングコストが高い
▼設備が大きい
スクラバー▼低~中濃度の特定臭気物質には効果あり
▼ランニングコストが安い
▼化学反応を利用するため複合臭気には弱い
▼排水処理が必要となる

無臭元の得意とする臭気対策は以下のとおりです。

  • 発生源対策:
    • 原材料や製造工程の見直し
    • 密閉化や局所排気の強化
    • 作業方法の改善(温度管理など)

対策の選定にあたっては、臭気の種類や濃度、排出量、設置スペース、コストなどを総合的に検討することが重要です。また、一つの方法だけでは十分な効果が得られないことも多く、複数の方法を組み合わせた総合的な対策が効果的です。

臭気でお悩みの場合は無臭元まで相談ください

悪臭問題の解決には専門知識と経験が不可欠です。無臭元は、60年以上に渡り、臭いに関するお悩みの解決に取り組み、多くの企業や自治体の臭気問題の解決を支援してきました。

無臭元では、臭気に関する調査・分析から対策提案、導入、アフターフォローまで一貫したサービスを提供しています。積み上げた現場力と技術力による現地調査や分析を通じて、臭気の原因特定を行い、お客さまの状況や予算に合わせた最適な臭気対策をご提案いたします。

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